【プレイレポート】PS Vita『Caligula -カリギュラ-』が、アニメ化してほしいくらい素晴らしい

土日の7割くらいの時間、PS Vitaを握りしめていた少年の心を失わない大人、浅葉(34歳)です。
おかげで、『Caligula -カリギュラ-』をクリアーすることができました。やりこみ要素はまだたくさん残っていて、しばらくこの作品とのお付き合いは続きそうなのですが、ひとまず、現時点でのプレイインプレッションをお届けします。

△一見『ペルソナ』っぽい雰囲気の本作ですが、中身は全くの別物!

△一見『ペルソナ』っぽい雰囲気の本作ですが、中身は全くの別物!キャラクターの可愛らしさが”ヤバい”ので、”ギャルゲー”好きとしてもたまらない作品です。ありがとうフリューさん。

メディアに情報が出始めたときから注目していたこの作品ですが、実際に遊ぶまでは『ペルソナ』の亜流だろうと思っていたんですね。シナリオは『ペルソナ』の立ち上げに関わった里見直さんだし、学園もののようなところも”それっぽい。”バトルはコマンド選択式で、そのバトル中に曲がかかったりする。パーティメンバーの裏の部分が明らかになっていくなんて要素もある。

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△アニメーションも用意されています。主人公(おれ)、めちゃくちゃイケメンです。

これもう絶対『ペルソナ』じゃん!と思い込んでいたのですが、いざ遊んでみると、全く違いました。
世界観もその物語も、そしてRPGの肝であるバトルややりこみ要素にも、制作側のチャレンジスピリットを感じる傑作です。『mind 0』もやりこんだおれに、『ぺルソナ』の亜流はそう簡単に通用しないぜと思っていたのですが、全然違う角度から刺さってきました。

△RPGとしても、斬新な要素が

△RPGとしても、斬新な要素が盛りだくさん。多彩なスキルを使い分けて闘うバトルは、自由度が高く、爽快感に溢れているぞ。(ゲーム雑誌)

今回の記事では、その尖った魅力を、オタクと、RPGマニア的視点で紹介していきます。

ジャケ買いを裏切らないストーリー

RPGはストーリーよりもバトルの楽しさとやりこみ要素を重視するおれですが、この作品は開始10分、つかみの時点でストーリーとキャラクターに引き込まれ、そのまま続きが気になる一心でプレイしていました。
本作の物語は、主人公が”メビウス”という、現実とは違う、幸せが溢れる空間に閉じ込められていることに”気づく”ところから始まります。人生最良の時間である高校生活が”ループ”させられていたことに気づいたとたん、今までは気づきもしなかった世界の綻びが見えるようになってしまいます。

△主人公が、世界の秘密に気づいたところから、物語は始まります。

△主人公が、世界の秘密に気づいたところから、物語は始まります。バーチャルアイドルのμが作った”メビウス”から脱出を図るため、主人公たちは街を駆け巡ります。

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△かってはμと”友達”だったバーチャルアイドルのアリアが、主人公たちに力を貸してくれます。アリアは、主人公たちの心を力を武装”カタルシスエフェクト”として顕現させる能力を持っています。

主人公は、自分と同じように、世界が作り物であることを知った仲間たちとともに、メビウスの創造に深くかかわっているバーチャルアイドルのμと、彼女に楽曲を提供しているオスティナートの楽士と呼ばれるクリエイターたちを追いかけていきます。メビウス、オスティナート、なんだかよくわからない単語だと思いますが、厨二病スピリッツを十分満たせるほどの設定なのでご安心ください。
もともとは、メビウスを一時の憩いの場として想像したはずのμが、メビウスから出ようとする者を頑なに拒絶するようになったのは何故なのか。オスティナートの楽士たちの目的は、主人公と仲間たちは何者なのか。さまざまな謎と伏線がスピード感たっぷりに広げられるストーリーのおかげで、久々に徹夜でRPGをクリアーすることになりました。

△μと行動をともにする

△μと行動をともにするオスティナートの楽士の一人、スイートP。楽士たちはとある目的のために、μに楽曲を提供しています。

世界はバーチャルなものであるというお話は、ゲームだけでなく、映画や小説でもお馴染みのものになりつつありますが、この作品では、バーチャルな世界と現実の世界の”ギャップ”に焦点を当てています。”メビウス”で暮らす人物たちは、”アバター”であり、現実世界の自分とは、外見や立ち振る舞いが異なる可能性があるというのです。

△”現実世界”の自分については、キャラクター別に好感度を上げると解放される個別エピソードで語られます。

△”現実世界”の自分については、キャラクター別に好感度を上げると解放される個別エピソードで語られます。


オンラインゲームのように、性別ですら異なることも、珍しいことではありません。敵はもちろん、主人公やその仲間たちも、現実世界ではどんな人物なのか全くわからないというところから物語が始まり、さまざまなエピソードを通じて、少しずつ「現実」の姿を知っていくことになります。
一見めちゃくちゃ可愛いヒロインたちの”本性”は必見!むき出しの本性を知ったとき、その人のことを変わらず愛せるのかというのも本作のひとつのテーマらしいですが、おれ的にはオールOK。琴乃ちゃんも美笛ちゃんも愛しています。『下級生2』のメインヒロインに怒った人は、この作品にも怒れるかもしれません。

△なんでもそつなくこなすパーフェクト優等生っぽい琴乃さん。

△なんでもそつなくこなすパーフェクト優等生っぽい柏葉 琴乃ちゃん。おれの心のカノジョでもあります。

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△琴乃さんの本性がチラり。おれも罵られたい!

△おれの心のカノジョ、美笛ちゃんです。

△おれの心のカノジョ、篠原 美笛ちゃんです。主人公のことを慕っている明るい後輩です。

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△美笛ちゃんの”スイッチ”が入った状態がこちら。愛せます。

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△男キャラクターもめちゃくちゃ格好いいので女子の皆さまもご安心を。おれは彼をパーティに入れていましたが、最後まで彼の名前の読み方がわかりませんでした。いづる、でいいのでしょうか。

本作のキャッチフレーズは、”理想(きみ)を壊して、現実(じごく)へ帰る――”というものですが、このフレーズ、本当に素晴らしいです。夢の世界であるメビウスから出ることで、また過酷な現実が待っているのに、なぜ主人公たちは脱出を願うのか、そして、その過程で垣間見えてくる仲間たちの”本性”。エンディングまで一気に駆け抜けたくなるほど、この物語は鮮烈です。

未来視を活用した戦闘

本作の戦闘は、”動作時間、ヒット数、ヒット効果”などがさまざまに異なる”スキル”を使って闘います。攻撃をヒットさせている間に、他のキャラクターが攻撃を仕掛けると”コンボ”扱いになるシステムは、『ヴァルキリープロファイル』的な戦闘が好きな人にはバッチリハマるはずです。バトル中に『ペルソナ』よろしくボーカル曲がかかるんですが、これが素晴らしい。早期購入特典にはサントラがついてくるから早めに買うしかないとダイレクトマーケティングを行っておきます。

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△タイミングをあわせれば、このように敵を全員でタコ殴りにすることもできます。浮かせ技で浮かせて、空中で数発攻撃し、ダウンしたところに追い打ちといった”コンボ”も可能です。また、特定の攻撃をヒットさせると上昇する敵の”リスク”を高めることで、威力の高い”奥義”で追撃をかけられるようになります。

スキルの種類が非常に多岐に渡るため、どのようにコンボをつなぐのか一見難しそうに見えますが、そこは本作のシステム”イマジナリ―チェイン”がカバーしてくれます。このイマジナリ―チェインは、戦闘中行動選択時に使える”未来視”のようなもので、コマンドを選択すると、そのキャラクターがコマンドを行ったときにどうなるかが表示されるのです。イマジナリ―チェインを見て、技がつながるか、つながらないかを判断することができるので、行動選択前に”やり直し”が何度でも効きます。

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△行動を選択すると、イマジナリ―チェインが表示されます。イマジナリ―チェインで、”成功”していれば、その行動を”決定”するというのが、本作のバトルの基本的な攻略になります。

このイマジナリーチェインでは、相手の行動も見ることができるので、こちらの攻撃よりも相手の攻撃が先にヒットするというような状況も、前もって察知することができます。相手の攻撃があたってしまうことが視えたときは、一度距離を離して、相手の行動を空ぶらせてから、スキルを叩き込むという戦術も可能なんですね。

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△戦闘中の動きやスキルは、キャラクターごとに大きく異なります。中には、”ビット”のようなものを操って闘うキャラクターも存在します。

バトル中は

△バトル中は主人公たちの見た目も戦闘モードに。美笛ちゃんは、マスクを装着します。こうした”変化”には、彼女たちの”本性”とリンクする部分が少なからずあります。

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△イケメンのセンス溢れるバトル中衣装。このキャラクター、めちゃくちゃ格好いいと思います。

と、戦闘システムは、一見煩雑そうに見えますが、このイマジナリ―チェインをフル活用しなければいけないような強敵は、ごくわずかで、ストーリーをクリアーするだけなら、コンボの組み立てだけ意識しておけば、そう苦労することはありません。

”一万分の一”に挑むやりこみ要素

やりこみ要素のないRPGは、どんなにストーリーやバトルが良くても淡泊に感じてしまうおれですが、本作はクリアーした現時点で、これはいつ達成できるのだろうというボリューム満点のやりこみ要素が複数残されています。まず、本作は、登場人物の全てに”名前”と”性格”が設定されており、この500人以上の登場人物は、全て”仲間”にできてしまうんですね。メインキャラクターのように、細かいビジュアルが設定されているわけではありませんが、CGモデルとしてしっかり動くように作られています。そして、この500人の登場人物と仲を深めることで、”因果系譜”と呼ばれる人の輪がどんどん広がっていくんです。この輪は、システム上にしっかり記録されるので、これをコンプリートするだけで、100時間ではたりなさそうな雰囲気です。

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△こちらが因果系譜。壮大な相関図です。

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△WIREという、メッセンジャーアプリを使って、学生たちとコミュニケーションをとることもできます。おれはまだあまり解放していませんが、これも総勢500人くらいになるのでしょう。スゴイ!

そして、本作における究極のやりこみ要素”ワールドリワード”。これは、敵からのドロップ品や、魂の残滓(宝箱)の報酬、または生徒との会話等で手に入るキーワードを示しています。そして、このワールドリワードを集めることで、エンドコンテンツである隠しダンジョンが解放されるんですね。
その多くは、”ランダム”とのことですが、中には一万分の一というとんでもない確率のものもあるようで、レア堀りゲーと呼ばれる『ファンタシースターオンライン2』と戦う気なのか、このゲームは、とわくわくしながら遊んでいます。
この一万分の一という確率だけを見ると、到底無理なのではと思いますが、なんとこのワールドリワードは、他の人がドロップしたキーワードも同じなのです。つまり、自分が拾えなくても、この作品をプレイしている誰かが拾って、それが口頭やネットで広がっていけば、多くの人に届くんです。今の時代に合ったユニークなやりこみ要素で非常に好感が持てます。やりこみたい人はしばらくネット上の動向から目が離せませんね!

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△ワールドリワードのドロップ率に注目。この隠しダンジョンが解放されるのはいつの日になるのやら。

このほか、ドロップによって手に入る装備品についているステータスアップ効果も、ドロップ品の場合はランダムなので、より良いステータスアップを目指すとハック&スラッシュ型の作品として遊ぶことができます。トロフィーコンプリート以上のものを目指せば、きりがないボリュームの”やりこみ要素”があるので、長く遊べる作品であることは間違いなさそうです。

気になる点を差し引いても”大傑作”です!

以下に書いた筆者の不満点は、最新のアップデートでほぼ解消されました。
本作のゲームシステムやUIには、やや不便を感じるところがいくつかあります。
特に気になるのは、操作がやたらと頻繁に要求されることで、戦闘中および、人との好感度を上げる際に、「同じ操作」を繰り返す必要があります。好感度の上昇には、会話が不可欠なのですが、一度の会話で上がる好感度上昇量はわずかなので、1キャラクターあたり、かなりの会話数を必要としますし、登場する人物が尋常ではなく多いため、この要素をやりこもうとすると膨大な時間がかかってしまいます。この要素さえもうすこしショートカットできるようになれば、雑な言葉でいうと”超神ゲー”だと思います。

△繰り返し会話をする

△繰り返し会話をして、好感度を上げる過程は、テンポがそれほどよくありません。登場人物の数が多いため、この要素をコンプリートするには、かなりの忍耐力が必要になりそうです。

また、6月27日現在では、プレイ中のエラー落ち頻度も高いので、今のタイミングでプレイするという方は、こまめにセーブをとることをオススメします。マップ切り替え時のローディングはやや長めですが、マップを切り替える機会はそれほど多くないので、こちらは後半にいけばあまり気にならなくなるはずです。

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△荒削りな部分もありますが、正真正銘の傑作!JRPGファンは是非遊んでみてください。

このUIやエラーの問題も含めて、いくつか荒削りな部分があることは確かですが、本作の新しさや、奥深さはホンモノです。JRPGが好きな人なら、遊んでおいて損はありません。また、こうした問題点については、発売日と同時にアップデートがあったことを考えると、今後もしかしたら、継続的なアップデートが入って改善される可能性もありますから、細かいクオリティが気になるという人は、続報を追いかけてみるのも良いかもしれませんね。

△メインキャラクターではありませんが、おれのお気に入りキャラクターの一人です。

△キャラクターが一人残らずこれほど魅力的な作品があっただろうか。彼女は、メインキャラクターではありませんが、おれのお気に入りキャラクターの一人です。

ビジュアルや世界観が気になったら、買って損をすることはありません。
このストーリーのクオリティなら、アニメ化もいけるのでは。
このゲームのパブリッシャーであるフリューは、いろいろなゲームを出してきていますけど、最近のは特に素晴らしい。こんないい作品が現れると、”次”にも期待してしまいますね。
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△『カリギュラ』仕様のPS Vitaを新調するほどに気になっていた本作ですが、これほどの出来栄えとは!ありがとうフリュー。

△『カリギュラ』仕様のPS Vitaを新調するほどに気になっていた本作ですが、これほどの出来栄えとは!ありがとうフリュー。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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